弁護士 堤浩一郎

2008年12月16日 (火)

労働審判制度の活用を図ろう

1.労働審判とは

 
労働審判は2006年(平成18年)4月から施行されました。
 我が国には50006000万人の労働者が働くなかで,労働者と使用者との紛争は数多く発生しています。
 しかし今迄は裁判を提起したとしても

    解決までには費用と時間がかかる

というのが最大の難点でした。
 こういう状況を打破するため,20064月から労働審判制度が施行されたものです。

 労働審判法を制定するためには経営者団体との意見調整,政府・国会がどう考えるのか,沢山の問題がありました。
 その法案作成作業については,私の友人である鵜飼良昭弁護士(神奈川)が労働弁護士側の代表者として大変な貢献をされました。

2.労働審判の流れなどについて

 
労働者と使用者との間の紛争は,基本的には全ての紛争が労働審判の対象となります。
 管轄裁判所は使用者の住所,営業所の所在地を管轄する地方裁判所です。
 ところで労働審判の最大の特徴は

  (1) 3回の審判だけで決着を図る
  (2) 事件の多くが和解で決着している
  (3) 3回目の審判日には,審判を言渡し,
          その審判に不服があれば異議申立ができる。
  (4) 異議申立があった場合,審判の効力は失効する。

ということです。

 そういう状況のなかで,申立てをしてから約24ヵ月間で一定の決着が図られており,紛争解決のためには極めて迅速な処理方法となっています。

3.労働審判のポイント
 
以上のように極めて迅速に審判手続は進められていきますから,申立人としては精力的に

   ① 自分の主張を分かり易い書面にして提出する
   ② 証拠を収集,提出する
   ③ 相手方の主張に対する反論作業を的確にする

等の作業が重要です。

 現在全国的にも労働審判の申立て件数は増加し,そのなかで適切な解決が図られています。
 何か労使間で紛争があった場合,積極的に労働審判制度を活用すべきと考えています。

<労働審判制度について・裁判所ホームページ>
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/minzi/minzi_02_03.html

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2008年11月21日 (金)

気管支ぜん息と過労死について

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1.気管支ぜん息過労死について

 我が国では気管支ぜん息で亡くなる人達が年間数千人に達しています(なおフィンランドでは我が国とは人口が違うものの年間数人だそうです)。
 ところで,私は現在気管支ぜん息の悪化により死亡したS君(当時33才)の過労死事件を担当しています。
 
 S君は気管支ぜん息を抱えながらトラック運転手をしていましたが,月間180時間前後の残業に長期間従事するなかで,過労により2001年(平成13年)3月,33才で死亡されました。
 私はS君の業務状況を考えれば,その死亡は「業務によるもの」と確信をしていましたが,労基署は「業務外」との判断をするに至ったため,訴訟を提起し,現在横浜地方裁判所で審理が進んでいます。

2.気管支ぜん息は間違いなく治る病気

 過労と気管支ぜん息との因果関係を立証するため,2008年(平成20年)1028日,横浜地方裁判所で気管支ぜん息の専門医である灰田美知子医師に証言をしてもらいました。
 
 灰田先生の証言はとても感動的だったのですが,一番のポイントは
     気管支ぜん息は適切な治療を受ければ
     間違いなく治る病気,
     死ななくとも済む病気である。
という証言でした。
そのためには
     ピークフローメーターで呼気状態を日常的に測定する。
     ぜん息日記を付ける。
     症状が悪化したら早期に適切な治療を受ける
     場合によっては会社を休業する
等々が重要だとの指摘でした。
 なお,灰田先生の証言はS君のぜん息死は,過労に基づくものとの証言でした。

3.最後に

 雇用情勢が極めて厳しいなか,ワーキンブプアの問題とともに過労死,過労自殺の事案も増えています。
 S君のように1日も休まないで働き続ける,月間残業時間も約180時間というように過重な労務に従事していれば,健康体の人間であっても死亡の危機に立たされてしまいます。
まして気管支ぜん息患者であったならば尚更のことです。
 
 そういう意味でもS君の裁判では,是非勝利判決を勝ち取りたいと考えています。
 2009年(平成21年)122日には,S君の妻の証言があり裁判は終結することになっています。
 本件事件は気管支ぜん息のこわさ,治療問題等につき警鐘を鳴らしてくれた事件という意味でも,勝利判決によって大団円を図っていきたいと強く考えています。
 

    

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2008年10月29日 (水)

解雇事件の勝利

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『はじめに』
 弁護士の堤浩一郎です。
私は弁護士になってから32年余経ちますが,この間,一貫して働く人達の立場で弁護活動に取り組んできました。(2~3件,例外の事件はあります。例えば外国人労働者が小企業で働いていて労働災害にあった事件で,会社側代理人を務めたことがあります。)
そういう状況のなかで,最近,海上コンテナ運転手(女性)に対する解雇事件が見事に勝利解決し,大変嬉しく思っています。

『突然の不当な配転命令』
 その女性運転手は根っから自動車を運転することが好きで,海上コンテナ運転手の仕事をしていたのですが,突然,会社から事務職への配置転換を命じられました。そのため彼女はその配置転換を拒否したところ解雇されてしまいました。

『労働審判にて解決』
 私はこの事件を担当したのですが,この配置転換は違法不当と考え,横浜地裁に対し,解雇撤回を求めて労働審判の申立をしました。結論的には①解雇撤回,②賃金を支払う,③元の海上コンテナ運転手の仕事に戻る,ということで和解が成立したものです。

『あきらめないで闘おう!』
 あきらめないで労働組合の力に依拠して,闘うことの重要性を学びました。というのは彼女は配置転換命令を受けたあと,労働組合に加入して,その労働組合の力を借りることにより,本件事件が解決できたからです。

不当であると考えた場合,①「NO」の声を上げる,②労働審判制度を活用する,ということは,本当に大切なことだと思います。

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